イヤモニの話 その5:思い出深い機種・Shure E5など。

マルチの製品としては、Shure E5がやはり思い出深いです。清水の舞台から飛び降りるつもりで買いましたが、当初はどでかい業務用のプラケースに入ってましたね。E2とならび、プロユーザーの方にも利用者が多く、氷室京介さん、真矢さん他、E5ベースのカスタマイズをよくやってました。



E5はロー、ハイ2台のBA型レシーバーをネットワークを介して鳴らす、一般的なスピーカーと同様のアプローチがなされ、ワイヤレスモニターシステムのボディパックに最適化された高能率設計、広い周波数レンジから、業務用はもとより、ハイエンドポータブルオーディオユーザーにも広く支持されます。

カスタム化においては、シェル内ではなく外部にネットワークが置かれていたことから、ケーブルの取り回しや、断線時のメンテナンスが極めてやっかいで、ツアー前に3台一括点検とかだと、ウハーとなったのも記憶に新しい所です。ちょいクロス付近に特徴がありましたが、切れとガッツがある銘機でした。

E2もカスタム初期にはさんざんやりました。形状から先端部だけカスタマイズするカスタムイヤーチップの適用が困難(これもさんざんやりましたが)で、最終的には先端の音導パイプを切っちゃって、同径のまんま音導を引き回した上、光重合レジンで一体化させるという荒技が開発されましたな。

カスタムイヤーチップ開発に際し、シリコン内に樹脂/金属パーツを強固に固定させるという課題がありましたが、イヤモニではE2のどでかサイズゆえ断念されたものの、補聴器用シリコンイヤーモールドでハブという専用部品を考案、国際特許を取得するに至りました。うーん、捨てる神あれば拾う神あり。


カスタムイヤーチップでは、E5がまた別の意味で印象深い(とゆーか超恐怖)でした。ストレートのステム形状のため、ハードレジンでピタリに穴を開けたカスタムイヤーチップを取り付けるのですが、想定されていない利用方法ゆえ、ヘンな力がかかると、ステムの根元からポキンと折れるのDEATH!

カスタムで分解、って時も鬼門があって、ネットワークから来る信号線をBA型レシーバーの端子から外すって段に、やはりミョーな力をかけちゃったりすると、まだハンダを外してないターミナルがスポッ!と、ユニット内部のコイルから来る配線をぶった切って外れてきたりしちゃうことが・・・。

このあたりは後の祭りのため、E5のガチガチに固いケーブルがうっかり応力開放しないよーに、固定用のラバーとかでしっかり押さえておく必要があります。ちなみにE5シェルは、デザインナイフを分割面に何カ所か入れると、簡単に割れますよ(んー、何の役にも立たないサジェスチョンだわ・・・)。

E2のメンテではやはりシェル根元部の断線が多かったなー。これもシェルを割った上で、根元部を避けてケーブルを切断し再配線/組み立て直しとなるんですが、買った方が早えーっ!かつ安ぃーっ!ってことで、サウンドハウスとかに大量発注とかしたな、そー言えば。その後、ケーブルは改良された模様。

Shure E3はカスタム実験では大変お世話になった機種で、再初期は相当数をシェルにインストールしてました。ER-4(とゆーか9689/29689)ではどうしてもちょいローが足りない所を、ハイを確保しつつうまくカバーしてくれるウェルバランス。シングルで組み込みも簡単DEATH。

当初はケーブルも直刺し(とゆーか直結)で、フェイスプレートに至っては、ありえないことにアルミ板をたたき出すという凝った(いや、ノーアイデアな)仕様。その後さまざまな試行錯誤を経て、オリジナルのケーブル/フェイスプレートの製作に至りました。